モータにおけるスター結線とデルタ結線とは何か

 

 

 

 

 

 

三相誘導モータ(三相インダクションモータ)の基本的な話

 


三相誘導モータと三相電源をつながなきゃいけないんだけど、どうしたらいいんだろう。。

 


呼んだ?

 


まぁ、、そうですね。実は、モータと三相電源をつながなきゃいけなくて 電気関係の本を読んだんですけど、なんだか つなぎ方は以下の図の2種類があるみたいなんです。

 

 


なんですけど、上の図が何を示しているのかすら わからないたんです。。。

 


なるほど。任せておきなさい。ところで、誘導モータの基本的なことは知ってる?

 


知っているとは言い難いです。。

 


構わんよ。じゃぁまずは 誘導モータについて話しておこう。

これが3本の配線がある三相誘導モータね。

 

 


あ、ちょっと待ってください。3本じゃなくて6本の配線がある大きな誘導モータを見たことがあるんですけど。

 

 


そうだろうね。それらの違いはこの授業の最後で説明するよ。

今のところは6本の配線があるモータに着目しよう。基本的な配線の仕方がわかるからさ。ということで、6本の配線があるモータの中を覗いてみよう。

 

 


上の図の赤い四角いモノが何なのかわかる?

 


えぇっと。。 わかりません。

 


ちゃんと説明するから大丈夫だよ。それらは『インピーダンス』って呼ばれてるんだけど、聞いたことある?

 

 


聞いたことある気がするけど、インピーダンスが何なのかはサッパリです。。

 


ほうほう。まぁ この授業ではインピーダンスじゃなくて ただの抵抗だと思ってくれればいいよ。実際には抵抗じゃないんだけどさ。

 

 


どゆこと?

 


モータ内部の抵抗が、電源から供給されたエネルギを消費することで、モータがシャフトを回してるってこと。

 

 


それって 電球が電池のエネルギを消費して点灯する みたいな感じですか?

 


いい例えだね。電球の中には抵抗があって、その抵抗が電池のエネルギを消費して点灯する。

モータが回るのと同じ原理だね。

 


そうですか。。けどインピーダンスと抵抗は違うものだって おっしゃいましたよね?

 


確かにそうなんだけど、そのことに関してこの授業では深入りしないよ。気楽にいこう。

この授業で重要なことは、下図の赤い3つの四角いモノに電流が流れることで、モータがシャフトを回してる ってこと。

 

 


わかりました。

 

 

スターとデルタのシンボルは、モータのどの部分を意味しているのか

 


じゃ、スター結線とデルタ結線の違いの話に入ろうか。

 


下の図が何を意味しているのか全っ然わからないんです。三相誘導モータと どう関係しているんですか?

 

 


その疑問は簡単に解消できるよ。ちょっと下の図の3本の赤い導線に注目してみて。これらの線は同一なモノなんだけど、納得する?

 

 


そうですね。3本ともUで始まって、抵抗(というかインピーダンス)を通って、最終的にXで終わってますから、3本とも同じモノだと言えます。

 


その通り。ってことは、以下の赤い導線も同じだってことは もうわかるよね。

 

 


はい 理解できます。で、残った最後の下図の導線も同じ理由で、全部同じってことですよね?

 

 


そだね。

 

 

実際の配線例

 


やっとスターとデルタの図の意味が理解できましたけど、実際にどうやって モータから出ている線を 三相電源と結線すればいいのでしょうか?

 

 


もう一つ質問があります。何でスターとデルタという2つの方法があるのでしょうか? もしもスター結線かデルタ結線のどちらかしか選択肢がなかったとしたら どうなってしまうのでしょうか?

 


いい質問だね。この授業で全部答えるよ。

とりあえずまずは 実際にデルタ結線をしてもらいたいんだけど、ヒントをあげるね。下の図の赤い点を配線作業して つくることはできる?

 

 


できると思います。その点はRとUとZを結合してますよね。なので、それらの線を結べば完了です。

下の図でいいでしょうか?

 

 


いいねぇ。RとUとZが結合されているね。じゃぁ次は 下図に示した点をつくってくれる?

 

 


了解です。その点はSとVとXを結合してますね。ってことで、それらの線を全部結びます。下の図を見てください。

 

 


どうも。最後の点も同様につくってもらえる?

 


いいですよ。はいどうぞ。

 

 


実はこれで既に モータのデルタ結線に成功してるんだ。もうデルタ結線でモータをつなぐことは出来るようになったね。

 


ホントですか?思っていたより簡単でした。

 


では次のミッションに進もう。今度はスター結線でモータをつないで欲しいんだけど。

 


承知しました。同じ方法でやってみます。まずは下図の点をつくってみます。

 

 


その点はXとYとZを結んでいるので、同じ点をつくれるように配線したら以下となりましたが、これで いいでしょうか?

 

 


それでOKよ。じゃあ残りの配線もやってみてくれる?

 


以下の図が配線した結果です。

 

 


完璧だね。これまでのことで 何か質問ある?

 

 

スター結線とデルタ結線の使い分け

 


無いですけど、何でスターとデルタの2つの方法が必要なのか 未だにわかりません。。2つの方法ともモータを回すことは 出来るんですよね?

 


そうだね。2つの方法とも ちゃんとモータを回すことができるね。ただ、やっぱ それぞれに特長ってのがあるわけよ。

 


なるほど。その特徴とやらを説明していただけます?

 


簡単に言うと、スター結線は電流値を抑えることができて、モータの出力も低くなる。デルタ結線はその逆で、電流はスター結線より大きくなり、それに伴ってモータの出力も大きくなる。

 

 


そういう違いが生じるのは何故ですか?また、どうやってスター結線とデルタ結線を使い分ければいいのですか?

 


違いが生じる理由は『何故スター結線のモータは、デルタ結線より電流値を低く抑えられるのか』で話すよ。今回の授業ではスターとデルタの使い分け方の話をしておくよ。

デルタ結線されたモータの出力はスター結線より大きくなるので、デルタ結線の方が機械にとって有利 になるんだわ。ってことで、デルタ結線の方が一般的には使用されている。

 


なんだけど、デルタ結線には問題もあるんだ。

 


どんな問題ですか?

 


モータが始動するときは、止まっているものを急激に動かそうとするから、多くのエネルギが必要なんだ。そうすると、デルタ結線された大型のモータには大量の電流が流れてしまう

 

 


そうだとすると、どうやって大型のモータを始動させればいいんですか?

 


スター結線の出番だよ。スター結線が電流値を抑えることができるってことは、まだ覚えてる?

 


覚えてますけど、スター結線を使用したモータは出力が低くなるから、機械にとって不利だって おっしゃってませんでしたっけ?

 


スター結線でモータを起動させて、回転数が十分に上がった後に、機械の制御システムが自動でデルタ結線に切り替えればいいわけよ。

 


どうやって その制御システムとやらは、 配線をスターからデルタに切り替えるんですか?

 


申し訳ないけど それは今回のテーマからは外させてもらうよ。また今度 機会があったら説明するよ。

 


もう一つ質問いいですか?

 


なんだい?

 

 

なぜ3本の配線があるモータと、6本の配線があるモータが存在するのか?

 


小型のモータはデルタ結線で始動させても よいのでしょうか?

 


何も問題はないよ。

 


大きな電流が流れてしまわないのですか?

 


スター・デルタの理論は もちろん小型モータにも適用されるけど、大きな電流は小型モータには流れないよ。

モータが小さいので大きな電流が流れることができないってこと。

 


わかりました。小型のモータはデルタ結線だけで良いってことですね。

 


そうだね。ってことで、小型のモータは6本じゃなくて3本だけ配線が出ているんだけど、理由はわかる?

 


えぇっと。。詳しく説明していただけます?

 


下にデルタ結線されたモータを準備したんだけどさ。

 

 


このモータが小型だったとしたら、デルタ結線だけ必要なわけじゃん?

 


そうですね。小型モータはデルタ結線で始動できるので。

 


ってことで、小型モータが出荷されるときには既に、モータ内部で以下の図の様に結線されているのよ。

 

 


確かに、3本の配線しかモータから出て来てませんね。これが3本しか配線が無いモータの理由だったんですね。

 


もうスター結線とデルタ結線の違いは完璧だね。

 


はい。どうもありがとうございました。

 

 

 

 

692 thoughts on “モータにおけるスター結線とデルタ結線とは何か

  1. ありがとうございます!どうしてこんなにわからない人の事がおわかりなんでしょうか?他のサイトで一切分からなかったのに、普通に読んだだけですべてがわかりました。天才ですか?仕事に役立ちます。ほんとにありがとうございました。

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